トヨタ自動車が水素を使う燃料電池車(FCV)の発売を2014年度中に予定するなど、日本では「水素社会」が注目を集めている。一方、欧米を中心に電気自動車(EV)の普及も加速しており、FCVの将来には懐疑的な見方もある。次世代車の覇権争いは今後どうなるのか。 

トヨタ自動車が2014年度中に水素を燃料に使う燃料電池車(FCV)の発売を予定しています。2020年に開催予定の東京オリンピック・パラリンピックに向け、“究極のエコカー”を武器に「水素社会」を実現しようという声も聞かれます。ただ欧米では、プラグインハイブリッド車(PHV)を含めた電気自動車(EV)の販売増加に勢いが見えます。エコカーの覇権争いをどう見ていますか。

中西:水素社会が正しいのか。電池社会が正しいのか。こうした議論は不毛だと私は思っています。

トヨタ自動車が6月下旬に開いた燃料電池車(FCV)の説明会で、取締役副社長の加藤光久氏の話は、歴史を回顧することから始まりました。19世紀末に自動車が生まれた頃は、蒸気自動車、電気自動車、ガソリン自動車など様々なパワートレイン(動力伝達機構)が出現し、混在していました。その後インフラとして、高速道路やガソリンスタンドが整備されて、ガソリンで走る自動車が次第に普及するようになりました。最初からガソリンエンジンが主役だったわけでありません。

しかしエネルギーの未来を考えると、ガソリンは枯渇する日が近づいてくる。そこでクルマの電動化が加速し、パワートレインが再び多様化する時代が来ています。将来の選択肢としては、FCV、電気自動車(EV)、プラグインハイブリッド車などがあり、パワートレイン多様化の時代に再び戻っているということだと思います。

パワートレインの中で何が本命になるかは、なかなか考えづらい段階で、私はトヨタの見方は全くその通りだと思っています。